「プレゼン発表が決まったけど何から手を付けていいか分からない…」
「とりあえずPowerPointを立ち上げよう」
そんなプレゼン初心者向けに、 準備フローを用意しました。
プレゼン発表、と聞いてまずPowerPointを立ち上げる人。
それ、間違ってます。
プレゼン準備の大部分を占めるのは内容の構成で、資料に落とし込むのは内容が固まってからです。
簡単にフローを整理すると、
という流れになります。
この記事では、ビジネスフレームワークとしても知られる3Wの整理を学会プレゼンに応用する方法を解説します。
3Wとは、情報をやりとりするあらゆる場面で押さえておきたい「誰が・いつ・何をするのか」を整理する方法です。
ビジネスシーンでは、誰が何を担当するのか、またいつまでにするのか(納期)を管理することが必須ですが、
これは研究活動においても非常に有効です。
余談ですが、3Wのようなフレームワークに取り組む際、紙に手書きで資料を作成するのがおすすめです。
紙と鉛筆で、手を動かしながら頭の中を整理することで脳が効率良く働き、考える作業に集中できるようになります。
「書く」動作で左脳が、「考える」ことで右脳が活性化します。
また、「書く」動作で活性化された細胞はより作業に集中するように働き、これが集中力を高めます。
なので、複雑なことやより重要な内容を整理したいときには、アナログながら紙と鉛筆でメモしながら考えると効率よく作業できます。
話を戻して、3Wの整理についてです。
学会発表の場合、ざっくりと以下のように整理できます。
これらを意識することで、どのようにプレゼン内容が改善されるのか?
各項目について具体的にみていきましょう。
学会参加者と一言で言っても、分子生物学会などのお祭り的な学会から、研究会のような小さなものまで様々です。
そのため、聴衆をイメージする際、学会の規模感や参加者層も考慮すべきです。
具体的に、以下の3点に留意するとターゲットを絞りやすいです。
学会プレゼンの発表内容は、全く新規の研究テーマというのはほとんどなく、一般的には、これまでの知見の蓄積に新たなデータを追加する、という流れがほとんどです。
ということは、従来の知見を踏まえたうえで、研究のオリジナリティを明確にする必要があります。
皆さん(私も)が苦手な質疑応答も、その多くが「オリジナリティはどこか?」「それは理論的に正しいのか?」「検証方法・解釈は適切か?」に該当します。
大体の質疑応答の内容はあらかじめ予想できますので、発表前には以下の内容を確認しておくと安心です。
発表が慣れてくれば、あえて情報を抜いて質問を誘導することもできます。
この発表で何がしたいのか、目的を整理することで発表の方向性が明確になります。
学会発表の意義は大きく分けてふたつあり、ひとつは自分の存在感をアピールするため、もうひとつは情報交換をするためです。
存在感のアピールというのは、いわゆる「けん制」です。
研究分野がかぶる研究者(ライバル)に「自分はここの分野のこのブラックボックスに注目している!」と知らしめることです。
というのも、ノーベル賞を例に考えれば分かりやすいのですが、
ノーベル賞は一つの研究成果に対し、大きく貢献した研究者数人が選出されます。
該当研究分野は、ノーベル賞に選出されるほど研究意義の大きなトピックなので、当然、近い研究をしているその他大勢の研究者がいるわけです。
すると、その近い分野で長年研究してきた人は、その分野のノーベル賞が自分以外に授与された瞬間に、将来ノーベル賞を受賞する可能性がほぼゼロになります。
ですので、自分の成果をアピールすることで、その分野での立ち位置を明確にするのです。
他にも、明確に権利化されていなくても、技術的な蓄積により大御所ラボの専売特許になっている技術や、特許侵害を防ぐアピールの意味合いも大きいです。
実際は、大御所ラボにケンカ売るような行為はほとんどなく(そういう行為をすると、悪評が一瞬で研究者ネットワークに広がるので)、その技術を使いたい場合は共同研究というカタチを取ります。
一方、情報交換をするためというのは、アイディアやアドバイスが欲しい、という状況です。
特に懇親会では、時間を気にせず共同研究の情報やディスカッションが活発に行われますので、印象に残りやすいキーワードでアピールしたり、自分の抱えている問題を公開することで、思いもよらないアドバイスがもらえることもあります。
ココが分からない、ということをオープンにすることは恥ずかしいことではありません。
研究者は教えたがりが多いので、自分の知見が役に立つと思ったら話してくれますし、質問にも答えてくれます。
なので、その発表で何がしたいか、目的を明確にして「何を伝えたいか」を整理することが重要です。
プレゼンは、具体的なイメージができればできるほど、聴衆に刺さる発表になります。
もし余裕があれば発表する「場」も調べておくといいです。
発表の日の早朝でも、前日でもいいので、会場に足を運び、発表する部屋の大きさ、聴衆との距離、マイクやポインターの操作など確認できれば完璧です。
発表が始まると余裕がなくなるので、できるだけ不安要素は減らすように下準備を怠らないようにしましょうね。